王道だがフランクリンコヴィーの7つの習慣を振り返る。
深く読み込む時間がないなら要点を抑えて短時間でサクッと読める漫画版がおすすめだ。
今回は第5の習慣を解説していく。
相手を理解しない人は理解してもらえない
自分のことを理解してもらいたいという気持ちがあるのに、理解されている人は少ない。
それは自分の言いたい気持ちが先走り、相手のことを理解しようとする姿勢が足りない場合が多い。
お互い「わかってくれない相手が悪い」と思っているといつまでたっても分かり合えない。
自分本位の発信を止め、相手のペースに合わせる努力をすることだ。
相手を理解することで、やがて相手は自分の言葉にも耳を傾けてくれるようになる。
わかってもらえない時は、相手を責める前に自分自身を振り返ろう
交渉術や会話術のようなテクニックを使って会話をすると相手は「自分を操ろうとしている」と感じて身構える
また、言うことが毎回違っていたり、気分屋で態度に一貫性がないような人には、本当の気持ちを打ち明けたいとは思わないだろう。
コミュニケーションには読む・書く・話す・聞くがあるが、聞くことが最も重要なスキルである。
しかし、聞く練習をしたり訓練を受けたことがある人は非常に少ない。
興味のあることなら注意深く聞くが、興味がない話は一部だけを選択的に聞いてしまうか、
うんうんと相づちを打って聞くふりをしたりする人もいる。
それでは相手から信用されないし、自分も理解されない。
win-win の関係を築く話の聞き方
win-win の関係を築くには話の聞き方の段階の最高レベル「共感による傾聴」というスキルが必要になる
共感による傾聴とは、相手の目線で話を聞き、心の底から誠意をもって相手を理解しようとすることだ。
相手が「何を言ったか」ではなく「どう感じたか」に耳を傾ける。
共感による傾聴は時間がかかるが、心の声を聞くために使った時間は、信頼という大きなメリットをもたらす。
人の話に耳を傾けるときは話したいという欲望を自制しろ。
会話の段階
レベル4:感情移入して聞く | 相手の目線で聞く。相手が世界をどう見ているのかを感情移入によって理解する |
レベル3:注意して聞く | 関心をもって深く聞く、相手が問題と思っていることが何かを理解しようと努める |
レベル2:選択的に聞く | 自分が興味のある部分を聞き、自分の目線で解釈・評価する |
レベル1:聞くふりをする | ただ相づちを打つだけで、話の内容には無関心。別のことを考えている。 |
レベル0:無視する | 話しかけられても返事しない。相手の存在を認めた振る舞いをしない |
話を聞くときは相手が「何を言ったか」ではなく「どう感じたか」を汲み取れ
自分の場合に当てはめて聞くことをやめろ
聞くことで相手を理解するには大きなパラダイムシフト(今までの価値観の転換)が必要だ。
人の話を自分の経験で解釈する聞き方だと、
仮に相談を受けた場合でも自分は昔こうだったからこうしてみたらいいと自分語りのアドバイスをしがちだ。
そうすることで自分は相談に乗ってあげたと満足していても、相手は自分の気持ちを理解してくれたとは到底思えない。
また、共感による傾聴はテクニックではない、相手を心から理解したいという誠意がないのであればやらない方がいい。
上辺だけの傾聴は相手を傷つけ、関係を悪化させ、最悪の結果になってしまう。
人の話を自分の経験で解釈するな、相手の世界に入れ
共感による傾聴で相手の心を開く
共感による傾聴を上達するための4ステップ
第1段階:話の中身を繰り返す
NPLではバックトラッキングとも呼ばれる、要はオウム返しだ。
同僚から「最近仕事が忙しくてやりたいことできないんだよね」なんて言われたならなんて返せばいいだろうか。
いきなり、「お前の仕事の効率が悪いんだろ」とか上司の愚痴に話をすり替えたりされたら悩みの相談なんてしようとは思わないだろう。
じゃあ、どこをポイントに聞くか。
「やりたいことできないんだ、最近仕事いそがしいの?」と
「仕事忙しくてやりたいことできないんだ」とどっちで返したらいいだろうか、
前者だと、話を聞いているようで自分で方向を絞っていることがわかるだろうか。
相手はやりたいことができない話をしたかったのかもしれないのに、仕事が忙しい話をさせようとしている。
「仕事忙しくてやりたいことできないんだ」と返すと、次に相手がそうなんだよね~〇〇でと話を続けることができるのだ。
つまり、バックトラッキングすることで相手から話の主導権を奪わないで、話を続けることができる。
第2段階:話の中身を自分の言葉に置き換える
次のステップではただバックトラッキングするだけでなく、自分の言葉に置き換えて確認してみる。
ずっとバックトラッキングされていてもいいわけではない、
自分の言葉に置き換えて聞くことで、話の内容を考えながら聞くようになる。
>最近仕事が忙しくてやりたいことできないんだよね
<最近仕事が忙しくてやりたいことできないだ
>そうそう、もっと時間作ってスキルアップしたいんだけどさー
<もっと時間作ってスキルアップしたいんだ
>今の仕事しかできないんじゃ将来のこと考えると不安でさ
<今の仕事しかできないんじゃ将来のこと考えると不安なんだ
こんなひたすら繰り返されても、話聞くのがめんどうなんだろうかと思われるのがオチだ。
そこで、自分の言葉に置き換えてみる。
>そうそう、もっと時間作ってスキルアップしたいんだけどさー
<お、前向きだね、時間作って自分磨きなんて。
といった具合だ。
第3段階:相手の感情を反映する
次に相手の感情を自分の言葉にして相づちを入れることで
相手の言葉の裏にある感情に注意して聞くようになる。
>今の仕事しかできないんじゃ将来のこと考えると不安でさ
<今の仕事じゃ大したスキル使わないし、今の仕事がなくなったら不安だね。
と、相手の感情を置き換えてみる
第4段階:自分の言葉に置き換えつつ、感情を反映する
第2と第3の段階を同時に使う。ここまでくると相手は心を開き、信頼感が生まれる。
言葉の正しさでは人の心は動かない
コミュニケーションの目的は、自分を理解してもらい、相手の行動を引き出すことにある。
理論武装をして相手を説得しようとしても意味がない。
論破はできるが、相手の心はより頑なになり、お互いのメリットになる行動を促すことは難しい。
あの人についていこうと思うとき、あの人が何を言ったかではなく、どういう人かで決めているだろう。
一番わかりやすいのが狼少年だ
普段から嘘つきだと思っている人が、真実を聞いたところで、だれも信じてくれない。
言葉だけでは理解してもらえないのだ。
自分の意見を尊重してほしいと思うなら、付いて行きたいと思える人物を目指せ。
普段からいい人間関係を築いておくことで、正しいことを、正しいと認めてもらえる。
相手から自分という人間がどんな印象を与えているのかを書き出してみるといい。
同僚に自分の長所と短所を直接聞いてみるのもいいだろう。
どんな振る舞いをすることで関係をよくできるのかが見えてくる。
相手の立場で人間関係を考えることは難しいが、人とのつながりを深くするには積み上げるしかない。
急がば回れだ。
まとめ
人の話に耳を傾けるときは話したいという欲望を自制しろ。
話を聞くときは相手が「何を言ったか」ではなく「どう感じたか」を汲み取れ
人の話を自分の経験で解釈するな、相手の世界に入れ
自分の意見を尊重してほしいと思うなら、付いて行きたいと思える人物を目指せ。